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グラシア・ブラザーズ・ライフ♪ #8.5

2008年05月27日 21:57

#8.5
「はやて…貴方は、あの子の何を見てるの?いえ…違うわね…貴方はティスを通して、その向こう側に何を見て、何を望んでるの?」

その言葉を例えるならば【氷床の刃】。
身を震わす程の恐怖さえ覚える程の冷たい視線が私の体に遠慮を知らず、突き刺さる。思わず心の中で【痛い】と呟く。疑念と失望と怒気…そんな視線を向けられる事なんて日常茶飯事だった筈なのに…。部屋全体に重く圧し掛かる嫌な空気が、体に纏わり付く様な不理解な感覚に、嫌悪感が募る…。正直参った…。

『何を望んでるの?』

一体今更何を言っているんだ?
先程から散々…いや…カリムに至ってはそれこそティアナを勧誘した時にも説明したじゃないか?ティアナ同様…プラクティスを新しい私の部隊…機動六課へのフォワードにと…

(ホントニ…ソレダケ?)
「っ……!?」

想い呟いた言葉に突如投げられた疑念に目を大きく見開き息を飲み、その勢いで俯いて顔を咄嗟に上げてしまい、結果再びカリムと向き合う事になる。
それは間違いなく私の内から発せられた疑念。
心臓を鷲摑みにされた様な胸の痛みが私を襲う。なんで今頃…やめて…お願いだから出てこないで…今出てこられたら…

(ウソツキ…ケッキョクワタシハ…ワタシノコトシカカンガエテナイ…ギゼンシャ…)

違う!…違う!違う!私は…駄目なのに…そんな私じゃ駄目なのに…

「何時までも、自分を偽り続ける事なんて出来ないのよ…はやて。結論から言いましょう…」
「…っ!」
「…私、カリム・グラシアの名に掛けて宣言いたします…今の貴方に、ティスを…大事な私の弟を、任せる事は出来ません。」
「あっ…あぁ…」

その言葉を聴きたくなかった。幾ら表面上で覚悟したつもりになっていても…何処か心の根っこの方で…そんな覚悟できるはずないことが…それほど私は強くない事が…判ってたから…。だから…

「………ううぅあぁ…全くもうぉ…」

突如部屋の無音の空気を引き裂いたほのぼのボイス。
数刻までの怒気を孕んだ声じゃない…。穏やかで優しくて…私が知っている姉の声…怪訝に思い再び顔を上げる。

「ほ~ら♪」
「…………づっ?」

驚いた。
カリムがいつの間にか私の横に移動し、私の頭を両手一杯使って抱きしめられた事にも。
そして、無意識に上げた私の驚声が妙にぐもっだ声だった事に酷く驚いた。

「はぁ…駄目ねぇ…今回ばかりは心を鬼にしてでもって思ってたのに…ほら、もう泣かないの~♪…もぅ…どうして私の周りの子達はこんなに可愛いのかしら♪」

泣いている?私が?

「いいのよ…?」
「ふぇ…?」
「今ここにいる【八神はやて】は機動六課部隊長じゃない…。なんでも1人で抱え込んじゃう…ホンッット…手の掛かる私の可愛い妹…。だから…一人で悩まなくていいの。苦しまなくていいの…。」
「……。」
「…吐き出しちゃいなさい…。…正直…此処数年は見てるのさえ辛かったけど…必死に走り続ける貴方に余計な口を出したくなかった…。」
「……。」
「…だけどもう限界よ?だからコレは命令…貴方は決して自分の弱さからそれを曝け出すんじゃない…私が無理やり聞きだしたの…。だからコレは貴方のルールの範囲外…だから…ちょっとは…お姉ちゃんに頼ってよ…はやて…。」
「……。」
「……。」
「………私には…憧れてた…人がいたんよ…」

(ホント…ヨワイナァ…ワレナガラサ…)



…痛いなぁ…。

「屁理屈屋で頑固で融通利かないし…直ぐ子供扱いするし…その癖、自分が子供扱いされたらそれこそ子供みたいに拗ねるし…直ぐ怒るし…黒いし…図書館でいつも得意の屁理屈言いながら…でも優しく車椅子押してくれるし…車椅子が故障して…恥ずかしいって言ってるのに…1時間位ずっと…おんぶしてくれるし…家でご飯作ってあげたら…いつもは無愛想な癖にそんな時ばっかり無邪気に笑うし…私の事…ホントは恨んだっていいのに…お父さんのこと…ぅあ…気にするなぁって……うぅっ…す、すっごく…暖かかったぁああ…子供だって…頭撫でられるの…ふぇえ…嫌いやけどぉ!止めてって真っ赤になって怒ったけど…あの手はぁ…大好きやった…うぅっ…大好きやったのぉおぉお!」
「…うん。」

目の前で飽きもせずにボロボロ涙を流す少女をいい加減直視できなくなって体を180度右回りに回転させて早数時間。…ふぅ…実際は、物の数分しか経ってないんだろうぁぁ…。あぁ…畜生…凄い胸が痛い…。

「…うぅっ…だ、だっだのにぃ…私がぁ…うあぁあ…!みんな…うっ…もういないんだよって!…早くぅ…わずれ…忘れろって…!その方が、わだじの為だかあらって…でもっ!でもぉ!そんなこと出来なくて…忘れたくなだくなくてぇ!でも…何処探しても…全然見つからなくてぇっ!デバイスも魔力も何にも手がかりなんてなくてぇ…!ずっとぉ…うぅううあっ…謝りたいのにぃい…わだち達が…全部!みんな私だちが悪いのにぃ!…なのに!全部…責任擦り付けてぇ…違うって言ったのに…あの人はそんな人じゃないって頑張ったのにぃ…誰も…誰も信じてくれなくてぇえ…!」
「…うん。」

そりゃあ何処探しても見つからないだろうなぁ…。確定事項ではないが八神さんが探しているという人物に心当たりがある…。…そいつは数年前まで間違いなく【この次元】【この時代】には存在しなかった筈だ…。そう…ほんの数年前までね…

(…でっ?)
(ふぅ…泣いてる子供あやしながら、念話飛ばすとは随分器用な真似が出きる様になったんだね…姉さん。)
(どっかのヘタレお師匠様…もしくは、ヘタレ弟が目の前の現実から目を逸らしてるのを見逃しては…ああぁ?それともなにぃ?また私の前で大泣きしちゃうの耐えてるの?)
(…うっさい…)

「うあっあぁあ…ばかぁぁあ…ばかぁあああっ!!なんで…戻ってこぉへんのぉ…!リンディさん…おかしくなってもうたぁよぉ…エイミィさん…も管理局辞めちゃって…フェイトちゃんもぉ……だがら…だがらぁ…私がぁ…せめて私はって…頑張ろうって…だけど…だけどぉ…痛くて辛くて…痛くてざみしぐでぇ…ま、魔法だって使えなくなっちった私だけど…あぁ…でもぉ…わだちのせいだからってぇえ…頑張ろうってぇ…うあぁぁぁあああぁあ!!」
「…うん。」

魔法が使えない…か…うん…それ多分僕のせい…。アイツの術式が未だ有効状態として展開発動してるのであろう…。少なくとも今の僕に…それをどうこうできる術はない…。今はまだ…ね…。

(ねぇティス、貴方…この後、はやて連れて協会回ってらっしゃい。)
(……一応聴いとくと…なんで?)
(…【現在】の貴方を見せて上げなさい…。そっちの方が打ち明け易いでしょう?それにシア達も…)
(………だから…なんで?)
(……はやては…認めてあげても良いんじゃないの?…【カリム・グラシア及びプラクティス・グラシア間に措ける制約及びお約束 第5箇条目】…【もし、過去の仲間、友人、兄弟…貴方を貴方と認めてくれていた存在が、最後まで貴方の生存を願い、信じ、諦めず…貴方に辿り着いたその時は…。】)
(……【……必ず全てを受け止め…全てを打明けよ】…か…。)

それは僕とカリム姉さんが姉弟になった時に交わした制約…。
それは一方的に無理矢理結ばれた制約。
それは…全部…何もかも捨てようとした僕に…姉さんが残してくれた一滴の優しさの形。

そして制約成立時からいくつかの年を重ねた今日この時。
遂に1人の少女が…【彼の仲間】が…僕に届いた。何故だろう…今無性に…泣き叫びたいなぁ…。
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