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グラシア・ブラザーズ・ライフ♪ #1

2008年05月27日 21:32

メインLine

主人公       : プラクティス・グラシア(オリキャラ?)
イニシャルヒロイン : ティアナ・ランスター
メインヒロイン   : シア・グラシア(オリキャラ?)
メインヒロイン   : フェイト・T・ハラオウン

サブLine

主人公       : エリオ・モンディアル
イニシャルヒロイン : キャロ・ル・ルシエ

グラシアブラザーズ
長女:カリム・グラシア
長男:ヴェロッサ・アコース
次男:プラクティス・グラシア
次女:ティアナ・ランスター
三女:シア・グラシア

といった具合にオリキャラを折りこませ、ドタバタラブコメ風に突き進むStSのもう一つの形。主人公プラクティス・グラシアと機動六課メンバーが織り成す一つの幸せの形。
さて、唐突であるが、『簀巻き』と言う単語について考えてみた。

『簀巻き』と聞き、最初に連想したのは藁と荒縄で体を締め上げて捕縛された男の姿。

帰宅後、執務室に足を踏み入れるとそこには、昼下がりを海苔巻き煎餅とロイヤルミルクティを貪りながら目まぐるしくディスプレイを操作する姉の姿があり、ディスプレイ映し出された着物と称される服と一本のソードを身に付けたの罪人(後に知った事だが、時代劇とかいうものにカテゴライズされる映像記録らしい)と呼ばれた男がそんな姿をしていたのを思い出したのだ。

実際、この連想と実際の『簀巻き』にさほど違いはない。

『簀巻き』とは、罪人に対する刑罰の一つであり、文献を紐解くと、『『簀巻き』とは、身体を簀で巻いて水の中へ放り込む死刑の方法』と記されていた。
だが、実際は、『縄で縛られ水に放り込まれても必ずしも死ぬとは限らない』と言う理由から、犯罪に対して科せられる正式の刑罰としてはあまり見られることはなかったらしい。

まぁ、そんな蘊蓄どうでもいい。
そう、どうでもいいことだ。
そうだなぁ…どれくらいどうでもいいかと例を挙げるのならば・・・



生き甲斐の一つと公言しているサスペンスドラマのクライマックス。
二時間スペシャルドラマにおいての番組開始より一時間四十三分コマーシャル明け。
そこで、今明かされる驚愕という名札がぶら下げられたベタベタの真実。
主人公の元刑事が宿泊した旅館の女将が涙を流しながら拳銃を(何故一介の旅館の女将が拳銃を所持できるのかは小一時間問い詰めたいところではあるが)突きつける。

『私、もう耐えられない!殺す…貴方を殺して私も死ぬぅ…!!』
『お待ちなさい女将さんっ!!』
『気持ちだけで、気持ちだけでいったい何が守れるって言うんですかぁああ!!』

何故か海荒れ狂う断崖絶壁で縺れ合う男女。
何故か『待て』と言われただけで本当に待つ女将。

「えうぅっ……ううっ…ええうぅっう…!」

感動のクライマックスを顔から流れるであろう全ての物を流しつつ、謎の呻き声を轟かせながらテレビと向かい合っていたその時…

『ばんざーい!ばんざーい!ばんざぁーい!!』
「へっ…?」

突然甲高い音と野太い中年男性の万歳三唱と共に突如テレビ画面が中年スキンヘッドいっぱいになる。

『番組の途中ですが臨時ニュースをお伝えします!只今、激戦と言われた知事選挙選に終止符が打たれました・・!』

次に映し出したのは、顔も見た事がない20代後半の成人男性。男が放った台詞から状況を察するに、とある国で起こった選挙活動が終了。画面左上には『奇跡!?まさかのスキンヘッド当選!?』とあり、大よその予想を覆し、ダークフォース的存在と崇められたスキンヘッドが見事当選。社会的一大事にまで発展し、いち早く一般市民へこのホットでクールなニュースを伝えようと20代後半の成人男性は声を荒げ横から回される記事を読み続ける。

ぴんっ!
「あっ…」

暫くすると、右隅にぽつんと、先程のサスペンスドラマが再開される。しかし、画面比からすれば、9:1程ほど割り当てられたスペースが小さい。しかし、それでもクライマックスは続く。今も画面から声高らかに響く万歳三唱に抗うようにクライマックスは続くのである。

『私、貴方の事、嫌いじゃ無かったわ…だけど…だけどっ!!』『ばんざーい!ばんざーい!ばんざーい!』
『おっ、女将さぁあああん!!』『ばんざぁあーい!はんざぁああい!ばんざぁあーい!』
『私にだって、守りたい世界があるんだぁあああぁあ!!』『ばんざぁああい!ばんざぁああい!うおぉおーお!』

「……………………………ふっ」

緊急速報に画面がすり替わっり、30秒硬直(此処で瞳が単色に変化)、10秒の全身の振るえの後(此処で口が横三日月型に変化)、握り締めていた余り表現したくない状態に成り果てたハンカチをかなぐり捨てて・・・

「くくっ…第…97管理外世界の豚ども……やってくれましたわねえぇ…」
「まぁ待て姉よ。何がどうなってるのか解らないが取り合えず落ち着こう。馬鹿な真似はよせ…ほらシャッハもこの暴走列車を…ってストッパーの君が何故そんなにヤル気なんだ!?き、君までその陳腐な三文芝居にのめり込んでいたのか!?いや、駄目だって!その…何だ…謝るから!何で僕が謝らなきゃいけないか判らないけど謝るからぁあ…!あっ!ティアナ良い所に…!姉さんを止め…って、逃げるなぁあああー!」



と薄ら笑いを浮かべながら立ち上がる姉とその付き人や・・・



麗らかな昼下がり、ディスプレイ一杯に、『珍味!!猪のぼたん鍋!?』と番組テーマを掲げた男女のグルメリポーターが、浴衣姿でぐつぐつ煮えたぎる鍋を突いている。リポーターの腕が良いのか、番組製作スタッフの腕が良いのか、余りの空腹に脳がやられたのかは定かではないが、その15分にも満たない映像に釘付けになり、ふと・・・

「美味しそうだな・・・」

と呟きを零していた。次の瞬間、なにやら無言の重圧を感じ、ふと後ろを振り向くとそこには、白髪の長髪を指で弄りながら、その純粋培養100%を訴えるその彩やか真紅の瞳で、じっと僕を、見つめる少女の姿があった。

「・・・・・・。」
「・・・・・・んっ?」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・・シア?」
「・・・・・・・・・・・・・うん・・・狩ってくる・・・・・・。」
「なんか・・・今発音おかしくなかったか?」
「いこっ、ナスティ!」
『オールライト!』
「頼むから話を聴いてくれ・・・!?」
「・・・?ねぇ、・・・・ナスティ・・猪って何処にいるかサーチできる?」
『それには及びません。私が入手した情報に寄れば猪は第97管理外世界の動物に属すとあります。成らば第97管理外世界の動物園なる所にいる事がもはや必然です。そうです、丁度よい機会です。先日の私を誘拐蹂躙したあの『サル』とか言う毛むくじゃらどもに復習の刃を・・・この私を・・・鼻の穴に・・・くっ!』
「動物園…猪いるの?」
『イエス!オフコース!』
「なら・・・いっか!」
「いいのかっ!いや多分いないと思うよ!?ていうか君は僕のデバイスだろう!?」
『ならばマスターもお早く!この間ロッサと共に見たあのアニメーションの技を一刻も早く、試してみたいのです!大丈夫マスターならば出来ます!あぁ、悶え苦しむ猿軍団が目に浮かびます!』
「ああぁ、もう…何から突っ込んでよいのやら…」
『同感だリァイダー!此処ならば…地上を焼き払う憂いも無い!!』
「エクスキャリバー!?」
「そこで、それが判る兄様にも問題はあるとシアは思います…。」



との口論の末、本当に動物園赴く妹、我デバイスと同系列に並べても良いほどどうでもいい。

良くないような気がしないでもないが、あえて其の疑問の存在を全力で否定する。
そう思わないと、僕が壊れてしまうから…。そんな日常を送って来たから。

そう、僕の日常はデンジャラスという言葉に彩られた、破滅の日々だ。主にそれは、兄弟間でのいざこざにより引き起こされるイベントに何故かいつも僕ばかりが割りを食う羽目になるという理不尽極まりない運命によって齎されている。

僕こと『プラクティス・グラシア』には、姉と兄が一人ずつ、そして二人の妹がいる。

先に語った、長女『カリム・グラシア』や三女『シア・グラシア』が主なトラブルメーカーと言ってよく、頻繁に屋敷を半壊させている。だからと言って、次女『ティアナ・ランスター』や長男『ヴェロッサ・アコース』が大人しいかと聞かれれば決してそんなことはない…。そう、それは…ある日のワンシーン…



「そう…お姉ちゃんの言う事が聴けないっていうのね~ティアちゃぁん?」
「うぅ…」
「カ、カリム様?あの、できる事なら穏便に…、…ティス!ちょっと、いいのですか!?」
「いいも何も…他愛ない何時もの風景じゃないか?何年あの人の付き人してるんだよ」

長女の弄り癖が発動した時に見られる現象は実は限られている。
其の中でも、比較的多く発動するのが『口の横三日月化』と、『ちゃんづけで呼ぶ』である。本日は、其の両方が発動しており、弄りレベル2といったところだ。この程度なら、別段助けを入れる必要も無いだろう。

「い、いや…だってそんな服…」
「ゴスロリの何がいけないって言うの!?ティアもはやてもそこまでの物を持っていながら…!なんで…、なんで、ゴスロリの魅力に気付いてくれないの!!シアを見習いなさい!犯罪的な程の着こなしじゃない!?あぁああもう!可愛いなぁあ!!」
「いや、そんな事で泣きながら熱つく語られても…」

突然四つんばいに成り泣き崩れるカリム。地面に付かれた両手にはしっかりと、黒と白をベースとした『ゴスロリ服』と、赤を基色としたゴスロリ服を纏った白髪の少女の写真が握り締められていた。
どうやら、今回の事はカリムがティアナにゴスロリ服の試着を申し出たところ、激しい拒絶を受けたらしい。

「…んっ?」

なにやら後頭部の辺りにチリチリとした違和感を感じた。無意識に振り返ると、困惑した表情で助けを求める妹と視線がぶつかった。なにやら口をパクパクと動かしている。

(た・す・け・て)

後に聞いた話だがティアはそう呟いたらしい。しかし、僕には結果として、間違った言葉として伝えられていた。

(ぼ・す・け・て?なんだ『ぼすけて』とは?僕は君のボスではないぞ?)

首を傾げていると、深い悲しみから立ち直ったカリムが四つん這いの姿勢からゆっくりと立ち上がり、背景に薔薇でも浮かべかねない満面の笑みを浮かべ、手に持っていたゴスロリ服をシャッハへと投げ捨てた。

「お仕置きが必要ね?」
「「はっ?」」

『何故そうなる?』という突っ込みを、心の中で入れていると、カリムはスカートの右ポケットに手を伸ばすし其の中から、手のひらサイズの青いメモ帳を取り出した。確かにサイズ的には手のひらサイズだが其の厚みは相当なもので裕に300ページはあるだろう。そして、その表紙には『秘 ~ティアナ~』と実に達筆な文字が記されていた。

「ふふっ…」

再び『えっ?~ティアナ~って事は僕のもあるの?』などと一人心で突っ込みを入れている僕を他所に、絶望に打ちひしがれた先程とは打って変わり、姉の表情は輝きに満ち溢れていた。楽しくて仕様がないと言わんばかりの笑みだ。

「な、なによ『秘』って!?別に私、秘密にする様なことなんかっ…!」
「本当に…?」
「ううっ…」

明らかにティアの腰が引けている。彼女は気付いているだろうか?先程の位置から一歩後退している己に。

(そんなハムスターみたいな顔してると…あぁ、ほら、またカリム姉さんの目が光り始めた…)

何時もの事とは言え、やはりこの変貌は凄いと思う。こんな姉だが、仕事仲間や、友人一同には、キリリとした、仕事が出来る『パーフェクトウーマン』で通っているのだが、事家族とのことになると、この弄り癖が発動する。まぁ最近では、一部の仕事仲間にも発動している様だが。

「ならば…行くわよっ!」
「「………………………」」

別に自分が攻撃対象ではないが、場の雰囲気のせいか酷く緊張する。

「ティアナちゃんのぉー………好き好きお兄ちゃん赤裸々エピソードォ!!」
「…はっ?」「…なっ!?」

自分は先程と同じく、頭の上に『?』を浮かべているが、攻撃対象となった少女はそうではなかったらしく、顔を青ざめながらプルプル震えている。

「エピソード1!毎朝、机の引き出しの一番上に隠されている誰かさんと撮ったツーショット写真に頬を朱に染めながら『お・は・よ・う』なんて乙女して……」
「あああああぁあぁあぁ!クロスファアアイヤーシューーートォオ!!」
「うぁあ!?ど、何処狙ってるんだ!標的はあっちだろう!!というかそれノーモーションでも撃てるのか!?」
「カ、カリム姉さんに当てられるわけないでしょう!?それよりあんたを沈黙させたほうが早いーー!!」
「じょ、冗談じゃないっ!」
「エピソード1!アナザーストーリー!!調子に乗っちゃった日なんて、そのまま写真にキスなんてキスなんてきゃああぁあああ!!」
「なああぁー!聴くなぁ!聴くなあああぁあああああっ!!ティスは聴いちゃ駄目ぇえ!」
「結局こうなるのかあああぁあっ!!ナ、ナスティ!何処だ!?マスターのピンチだぞ!」
『五月蝿いです!マスター!例えマスターで在ろうと私のアニメーション鑑賞の邪魔をするのは許しません!』
「きっ、貴様それでも…」

既に、執務室の六割は見るも耐えない無残な残骸と化している。傍から傍観していたシャッハは又これの後始末に追われるのかと、深い溜息をついている。

「ど、どうしてそんなことまでっ!!まさか、わざわざ宿舎セキュリティーを抜いてまで…!!」
「う・ふ・ふ~どんどん行くわよ~!エピソード2!!それは訓練校で年に一度の『大声大会』!覚えてるかなぁティアナちゃぁ~ん?この屋敷の方角に向かってな・ん・て叫んだんだっけ~」
「うああぁあ~御免なさい!謝りますから、それだけはお代官様!!」
「…………………い・や・よ♪」

語尾に音符でも付いてるんじゃないかと言わんばかりの声を挙げたカリムは、突然彼女の隣に現れたディスプレイをタッチする。

ヴァァアアン

すると執務室中央に巨大スクリーン(カリム専用ドラマ視聴スクリーン)が低い重低音と共に現れ、そこには、口元に両手をを添えゆっくりと息を吸い込む訓練校時代の制服を纏ったティアナの姿があった。

「ちょっ…やめっ…………!」
『ちっきしょおぉおおう!ばぁっかぁやろぉおおう!大好きだあああぁあああ!!!』
「「「……………………………………………」」」

数秒の沈黙。その数秒、轟音を上げていた部屋がまるで、偽りだったかのように静まり返る。まぁ、それも、ティアナの呟きが零れるまでの数秒だったが。

「ばっ………」
「「ばっ?」」

ティアナの呟きに反射的に聞き返してしまうカリムと僕。

「ばあぁりあぶるぅぅしゅーーーーーとぉおお!!」
「バ、バリアブル!?溜めも無しに、なんちゅうもん撃ってんだ!?先週教えたばかりだろそれ!?火事場の馬鹿力もいい加減にしろ!」
「うっさい!!いいから当たれぁえ!!」
「だから何故に僕が標的なんだ!?というか、爆音で割と本気でカリム姉さんが何言ってるのか聞こえないからあぁあああぶないっ!?死ぬっ!そんなの食らった死ぬから!!ナスティ!デバイス!!デュランダルでもS2Uでもどっちでもいいからぁよこせえぇ!」
『私はこれをドリャえもんとは認めないっ!!』
「何の話だああぁあ!!」
「あらあら~そこまで真っ赤な顔も珍しいわねぇ~照れちゃって、もう、どうして家の子達はこうも可愛いのかしらねぇ~」
「うっさい!うっさい!うっさああーい!」

叫び惑う二人を遠くで見つめながら…

「むむむっ…なにやらティアと兄様が楽しそうに…」
「いいのかなぁ~シア…あのままだと大事な兄ちゃん……………………取られるぞ…。」
「むぅっ!不許可~!不許可です!!ティナ!そこに直るです!私の兄様に何たる無礼を~!!」
「ロッサ貴様、人事だと思って……!?」
「いや実際、人事だろよ…?」
「兄様!ツインテールですか!?その中途半端なツインテールが良いんですかぁ!?」
「なによ中途半端って!?」
「中途半端だから中途半端っていったんですぅ!そんなの完璧なツインテールとはいえないですっ!『ツインテー』と名付けてやりやがりますぅ!」
「うわっ本当に中途半端っ!?」
「あはっは!お前等、いつ見てもおもしれ~な~」

拍車を掛ける長男の姿があった。



と、執務室が半壊する波乱のしかし…まぁ…不覚にも『楽しい』と感じてしまう日常を送っている。まぁ、破壊されるのを見越して、礼拝堂の壁全体に魔力防御素材の物で守られていたりするのだが…。

…おっと、話が逸れに逸れてしまった。何の話であったか…?おっ、そうだ、大切なのはそんな事じゃない。今この時、大切なのは、『簀巻き』という物は、『罪人』に対して与えられる『刑罰』という其の事実ただ一点のみ。

「姉上…」
「んっ?何かしら?」
「私目が、先程から、『簀巻き』にされて転がされているこの状況に対しての説明を…要求しても…よろしいでしょうか…!?また、付け加えるのならば私何かしましたか!?」

つまりそういうことだ。
簡略して答えると…

『朝起きたら、縄で体を縛り付けられ、この執務室へ拉致られ、床に転がされた。』

ということだ。

「是非、お聞かせいただきたいのですが姉上…。」

こめかみを引き攣らせながら、自らの執務席に優雅に腰掛、今では珍しい紙をベースとした書類に目を通しながら返答する女性、我姉『カリム・グラシア』に問いかける。
あえて敬語を使用し、自らの怒りの心頭具合を伝えようとしたのだが、当の本人は長い金髪を靡かせながら、まるで、何事も無かったようにペンを走らせている。

「なにがよ。私はただ、シャッハに貴方を連れてきなさいって言っただけよ?……問答無用で…」
「それでなんで…こんな縄でグルグル巻きにされなきゃならんだぁあ!って問答無用っ!?」
「五月蝿いわよ。静かになさい、ティス。あと一時間位ではやてが来るから、それまでちょっと待ってて貰えるかしら?」
「えっ…」

何時もならば、『無視ですか!?』『こんな格好で!?』等の突込みを入れているが、無視できない単語が耳に入り、一時思考が停止してしまった。

「………新部隊の…立ち上げ準備とかで多忙だと聴いたが…」
「それを、裂いてでも取り付けたい用なのでしょう?。まぁ、大体予想は出来るけどねぇ。私もティアナの隊での様子も聞きたいし…。」

書類から目を離さず、羽ペンを握る手は休み無く動き続けているカリムが纏う空気は普段のそれとは全く異なり、彼女が作り出しているであろう緊張感が執務室を支配していた。

「………………そんな話に僕は必要ないんじゃないか…?まぁ、確かにティアナの事に関しては気になるが、それにしたって、普通に呼べば…」
「…大人しく来た?」

簀巻きにされた自分がドアを破り、しゃくとり虫の様にのたうち回っている間も、抗議を受けている間も動き続けていたペンを止め、カリムはゆっくりと顔を上げ、僕の瞳に直接訴い掛ける。

「……………………」
「来ないわよ。貴方は……あれこれと理由を付けて逃亡を図るわねー。何年貴方のお姉様やってると思っているの?」
「……………………ふん。」

止まったペンが、再び紙へ戻される事はなかった。カリムは書類をデスクの脇へ寄せ、持っていた羽ペンをペン差しに差し込み、両肘を突きながら僕に微笑みかける。

「………………羨ましい?」
「…………………別に…。」
「……………………そう…」

胸の奥に鈍い違和感を感じる。『八神 はやて』『時空管理局』二つの単語が頭から離れない。

だから…
「………………意地っ張り……」

そんな、苦笑を浮かべた姉の呟きを、僕は聞こえない振りをしたんだ。

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