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独身25歳の休日

2008年05月27日 22:17

#独身25歳の休日

□特殊設定
・主人公クロノ君
・カップリング『クロノ×ティアナ』
・独身25歳
・身長コンプレックス未だ健在。

フェイト > なのは ≧ クロノ > はやて

・『局員300人に聞きました!クロノさんの実年齢は?アンケート』第一位 192票獲得 『18歳』
そして、物語が佳境へ向かう。

崩壊を真近いに迎える世界。
その中心で、少年少女達が迎える理不尽極まりない別れ時。

揺るがない事項に対しての、やり場のない悲しみと悔しさを胸に少年達は、あくまで、今日まで過ごした『日常』の中で互いの想いをぶつけ合う。

ある少年は、人生の大半を共に過ごしてくれた友へ心からの礼を。
ある少年は、友に恵まれた自分の人生の幸せを噛締め、友情の証を立てる。
ある少年は、自ら抑制していた感情を爆発させ、それでも尚、変えられない現実に憤りながら、生きるべき者たちへ怒声を浴びせる。

そして、崩れ行く世界の中、主人公の少年は少女の手を握り、別れを告げた。

『創られた世界』に…
『かけがえのない親友』に…
そして何より…『僕達』に…。『あ、あの~お客様?』

「んっ…?」
「あぅ…失礼しますです。こちら、ご注文のホット・キリマンジェロ‐スノー…ドロップ?…とな…るんですっ!」

創造世界に没落していた意識が、現実世界へと引き戻された。
文庫本に落としていた顎を反射的に上げ、凛とした声の出所を見上げる。

そこには、この喫茶店のウェイトレス…頭に白く輝くヒラヒラのカチューシャと、シックな深い黒のワンピースの上に、『MISSION』と店のロゴの入った『純白フリル盛り沢山エプロン』を優雅に着こなす長髪の女性。

推定20代前半と見つけられるウェイトレスさんの別名『家政婦さん』の様な格好と、先程後輩らしき学生アルバイトに給仕を指示していた事から、地位的に最下位ではない様なので仮に、『中ボスメイド』と名付けよう。

その『中ボスメイド』が、円形シルバートレイ上の白で統一されたシンプルなティーセットを危なげな手つきで並べていく。

『マグカップ』『ミルクピッチャー』それに『シュガーポット』に『小スプーン』。

……それにしても流石は『中ボスメイド』。
暗記物が苦手なのか、経験が浅いのかは知らないが、読み上げる商品名は疑問系。そして、さも当たり前のように言い間違えてくれる。最後の方は開き直った節さえあった。

(『スノードロップ』じゃなくて『スノートップ』が正解な…。)

加えて、最後に置いたスプーンおいては、使用先端部分を此方向きにしてテーブルへ置く辺り、やる事が微妙にズレている。

(普通は逆だろうに…。そんな事だといつになっても『中ボス』から昇格できないぞ?)

「お熱いのでお気をつけ下さい~。では、ごゆっくりどうじょ♪」
「あぁ…ありがとう。(…じょ?)」

無事(?)に『配膳』というミッションを完遂させ、営業スマイル&営業マニュアルを翳す『中ボス』に、軽く返答…同時に、『読んでいた』というよりは、『眺めていた』だけの文庫本を、栞も挟まずに閉じ、テーブルの脇にテーブルの脇に追いやる。取り合えず先程の『中ボスメイド』を脳内で『ダメダメイド』に降格させ、ふと腕時計を覗き込むと、規律正しく時を重ねる『それ』は、丁度午前10時を示していた。

「…平日の昼間から外でコーヒーブレイクとは…我ながら良いご身分だこと…」

その日、僕ことクロノ・ハラオウンは沈んでいた。
絶賛憂鬱中の脳が齎した、後ろ向きな発言をしつつ、目の前に置かれたカップへと視線を落とす。

カップからは、本来であれば心躍らせるコーヒーの香ばしい…それでいて、最高クラスの豆独特のスイーティな香りが、薄白い湯気と共に柔らかく鼻腔を擽る。

この洗礼された一品とは、比べるのもおこがましい話だが、長年仕事上の相棒として連れ添うっていた『アホ毛娘』が、徹夜勤務時に作成する、あの『ドス黒い苦汁』とはまさに『天と地』『アルカンシェルと水鉄砲』程の違いがある。

(まぁ、『眠気撲滅』の為に、そう注文したのは僕なんだけどな…。)

早速、取っ手を掴み、カップに口を付ける。
勿論その際に、備付けられたミルクとスプーンには手を付けない。例え人それぞれ味覚に個人差があるとはいえ、コクのある酸味が売りのこのコーヒーに、わざわざミルクを入れる等という愚行は決して犯さない。そんな物は邪道だ。僕は断じて認めない。

そこでだ…まぁ、同じ人物を掛け合いに出すようで、少々ボキャブラリーに欠けるが、その事を先程の『アホ毛娘』に熱談してやったところ…

『…あのさぁ~クロノ君…そんな老けたことばっかり言ってるから、身長伸びないんじゃないの?それにそれ、フェイトちゃんにまで吹き込んだでしょう?…あの子満面の笑みで同じ事言ってきたよ?…はっ!ま…まさか!その調子で、フェイトちゃんを自分色に染めようとか…。この鬼畜!ロリコン!…』

…等と実に腹立たしい顔で、暴言を吐いた。

途中で回想を止めたが、その先は思い出したくもない。
その時に、二度と奴とはコーヒーについての討論はしないことと、二ヶ月の減棒を固く誓ったね。

(ああ、そうさ…たい焼きなら『カレー&サラミ』…クレープなら『山盛りコーンサラダ』…常連の喫茶店で『いつものお願いね♪』と注文して、生クリームや果物が溢れかえっている、半径約30センチ程の『巨大金魚鉢パフェ』(税込み2800円)が運ばれてくるような女に、コーヒーの良し悪しを求めた僕が愚かだったのさ……。…くっ…人が気にしてることをズケズケと…。)

実際…僕は年齢を基準とした平均身長に達していない…。
そりゃ昔に比べれば多少は伸びたが…妹のフェイトや友人のなのはにまで身長で抜かれてしまう体たらく…。加えて顔も童顔寄りなせいか…今までの人生のなかで実年齢より上に見られた試しがない…。

「題して『局員300人に聞きました!クロノさんの実年齢は?アンケート』ですぅ!わぁわぁ!ぱふっぱふぅ!!」
(ね、ねぇ…はやて…リイン…何かクロノに恨みでもあるのかな…。)
(私も気になってそれとなく聞いたんやけどな…一応あれ善意でやってるみたいなんよ。)
(…喧嘩売ってるのかと思った…。)

「第3位!ズシャシャシャーン…『17歳』!わぁあわぁ♪やったのですクロノさん!実年齢より7歳も若く見られてるですよぉ!」
(ああっ…ねぇフェイトちゃん…クロノ君…)
(うん…泣き出しちゃったね…)

図解 身長順
フェイト > なのは ≧ 僕 > はやて

世界は…いつだって…『こんなはずじゃない』こと…ばっかりだ…。

「ふぅ…美味い…」

一口、二口と口を付けた所で、カップを置き、思わずそう呟く。

『美味い』か…。あぁ、確かに美味いさ…だが、出来る事ならば、『仕事明け』もしくは『朝食後』の様な、何の不安も気がかりもない、澄み切った心で飲みたかった。

こんな平日の昼間、中央街から若干外れにあるオープンテラスで、『今この瞬間も確実に溜まり続けているであろう仕事の山』を想像しつつ、一人うな垂れながら飲みたくはなかった…。

(…また雪崩が起きるな…間違いなく…。それも近年稀に見ないビックな奴…。)

はぁ…と再び溜息をつき、コーヒーを啜る。
いつもと同じ、お気に入りの味だというのに、なんなのだ、この体に圧し掛かる倦怠感は?
確かに舌は、このコーヒーを『美味い』と感じているが、体全体で『それは偽りだ。そんな事よりも先に考えなければならない事があるだろう?』と拒絶反応を起こしている。

(…美味いなぁ…泣きたくなる位…そろそろ、書類山が高度が1Mを越えた頃か…)

執務机を多い尽くす白い山を連想しつつ心の中でそっと呟く。
あれは確か…約7年程前のこと。

「離んなぁ…せぇ!なんなんだ!?出会い頭にいきなり、バインドとはどういった了見だぁ、ザフィーラ!?茶飲みの友である僕を売るのかぁ!?」
「…スマン…ハラオウン…説得は試みたのが…主の命令は絶対なのだ…」
「そゆこと~♪さっ、無駄な抵抗するだけ疲れるでぇ~クロノ君♪ただでさえこれから体力いっ~ぱい使うのに。」
「僕は心無い暴力には何があろうと屈しない!合言葉は『絶対にNo!』と『だが断る!』」

妹やその友人達と、某管理外世界に海水浴へ出かけた…いや…仕事を理由に『断固拒否』したところ、『武力行使』&『数の暴力』(1 vs 13)によって、拉致されたと言った方が正しいか?…とにかくその時、突如訪れた丸々3日間の強制休日の際、溜まった書類山の高度が約3M程であった。

単純計算で1日1M。正直洒落にならない。

その際、拉致の現行犯の一人である時空管理局勤めの家の妹が、ものの見事に書類山の雪崩に巻き込まれ、総勢での救出活動を行った記憶は、まだ色あせず僕の脳裏に焼きついている。

普段クールな妹が、雪崩の起きた書類山から『黄色と白のストライプ』の下着を全力全快で晒し、『あうあうあ~!』と、とぼけた泣き声を上げながらジタバタする様が、実に印象的だったのを覚えている。

(3日で3M…。それが今回は…)

上着の胸ポケットから一枚の紙を取り出す。
何故こんな物がこの世に存在するのであろう?全く持って忌々しい…という位の恨念をその紙に全力で叩き付けながら、四つに折りたたまれた紙をゆっくり開く。

現れたそれは、何てことない僕宛に届いたメールを統合して、プリントした物。
妹同様、時空管理局に勤めている自分宛に届いた2通のメール。なにやら『規定規則』やら『確認事項』やら『私、怒りました』やらと、ビッシリ書かれているが、つまり、要約するとこういうことだ。

『歪んだ憎しみを込めて…人事総合管理部より親愛なるクロノ・ハラオウン提督へ。提督?何故、有給休暇を使わないのですか?私、先日言いましたよね?『規則ですから、いい加減、有給休暇消費して頂かないと困ります。』って。へぇ…そうですか?この私に逆らうと…つまる所そういうことですね。了解いたしました。少々お待ちください…。

□上記このメールが届いた10分後下記のメールが届く□

…手続き完了です…。こちらも強制手段に出させて頂きました。とりあえず明日から、5日間を強制休暇期間とします。これ、命令だから。お仕事に熱心なハラオウン提督ですから、なんでしたら、これを『任務』と受け取って頂いても結構ですよ?正式な指令書がご要望ならば仰ってください。リンディ・ハラオウン様より既に頂いておりますので即日発行できます。まぁ、つう訳で諦めろ。以上、さようなら。…私の決定を覆せるとでも…やってみな…ああぁはははははっ!』

「5日…5日…い~つ~か~…」

一筋の焦汗を流し、ポツリポツリと呟く『5日…』という恨み言。
諸事情より、『憎しみフィルター』が多分に掛かってはいるが内容理解として問題はないはずだ…。なんだそれは!?と即刻、管理部に掛け合ってみても…『既に決定事項です』『義務ですから』と冷たく突き放される。

「…再三の通告を無視し続けたんでしょう?自業自得じゃないの~?」
「その一言で処理されるのは非常に遺憾なんですが…母上…。」

管理部に軽くあしらわれ、ならばと共犯者である、幼少時代に『糖分は敵』という格言を僕に教えてくれた母に通信を取る。しかし所詮、共犯者は共犯者。この件について『自業自得』と呆れ顔で、一刀両断されてしまった。しかも…

「クロノ…貴方もそろそろいい歳何だから…早く良い人見つけて私を安心させなさい。エイミィなんてもう一児の母なのよ?」
「余計なお世話です…。」

と、そんな事をいう言われる始末。その後も売り言葉に買い言葉。軽い口論にまで発展した。

「5日か~…」『…お断りよっ。…それ以上…。』

いくら呟いた所で休みが消える訳じゃない。

実際問題、この休暇に問題があるかと問われれば、実の所、別に不都合があるわけではない。むしろ僕の様な次元航行部隊の人間にとっては、休みを入れるのには絶好の好機と言えよう。それというのも、僕が艦長を勤めるXL級航行艦『クラウディア』は数年に一度のフルメンテの時期に当たり、約一週間のドッグ入りを先日終えたばかりだ。その間クルーの殆どが教導隊や訓練校などに足を運び訓練、もしくは直接現場へ派遣され研修等を受けている。

『…少し……冷やそ……。』

仕方なく、愛用のデバイスでも弄り倒そうと考えていたが、無常にも、それ(研究ラボにデバイスキッド)さえも取り上げられてしまった…。今も上着の内ポケットには二枚のカード(デバイス)があると言うのに分解も許されないだなんて、横暴にも程がある…。

さて、そうなるとホントにやることがない…。半ば意地で街の真ん中まで出てきたが、正直何をすればいいのか真剣に解らず、途方に暮れているのが現状だ。

今日、街に出て取った行動といえば、取り合えず、本屋の入り口にズラリと塔の如く聳え立っていた、ベストセラー文庫小説とやらを手に取り購入。それを片手に喫茶店にて『休日』ということを理由に、その店で一番高価なコーヒーを注文。そして『中ボスメイド登場』後に『ダメダメイド爆誕』…

「…はい、おわり。語ったら一分と持たないぞ…はぁあ…休日とは一体何をすれば…んっ?……そうぶわぁふぁあぁ!?」

実際には、浅い思考の末に妙案が浮かび、『休みの日とは一体何をすればいいんだ?…んっ?…そうだ!』と言いたかったのだが、突然訪れた甘ったるいバニラの匂いと、眉間辺りに広がる、冷たい感触によって、その言葉を最後まで発音する事ができなかった…。

『う、うわあぁあー!!すっ…すみませぇーーん!!』

辛うじて薄く開いていた目が、凄い勢いで近づいてくる、明るい茶色の髪と黒いリボンを捉える。実の所それが、退屈な休日をぶち壊す『出会い』の衝撃であったと知るのは、実は、大分後のことだ。
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