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こんなバトルがあったっていいじゃないか!? クド VS 真人

2008年05月27日 22:19

#こんなバトルがあったっていいじゃないか!? クド VS 真人
『雨』が『豪雨』と呼称を変えてから、既に数十分が経過した。音は届かないが、遠く見える雨雲では、雷も発生している。十分『悪天候』と呼べるだろう…。

時間的には、まだ朝方だというのに、周りは嫌な漆黒に包まれる。絶対的な漆黒に包まれる、夜の暗さとは違う。そう…まるで薄気味悪いドス黒い瘴気が辺りを覆い隠している様な、そんな不快感を覚えさせる中途半端な『漆黒』だ。

「………………つっ!……」

朝起床して、見上げた景色がこの様な物だったら、きっと憂鬱な一日の始まりを連想してしまいそうな、そんな朝…。そんな悪天候の中…深く暗い森の中…私は怯え…佇んでいた。

「……………………っ…っ」

雨で濡れた帽子が、マントが重い。濡れた服が肌に張り付き不快なことこの上ない。
それでも、私は俯き、そこに佇んでいた…。
そう…私は、『怪物』を前に、足が竦み立ち尽くすことしか出来なかった。

(怖い…怖い…!!怖い怖い怖い怖い…!!)

この世に生を受けて、10年とちょっと…生まれて初めて…思い知った。自分が生ぬるい現実の中で、のうのうと生きていたことを…。これ程の威圧を…。
あの赤い瞳…初めて明確な悪意を叩きつけられて、思考の全てが、『恐怖』という色に染まる。

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…っ…」

動悸が激しくなる。ただ立ち尽くしているだけなのに…。
自然と額に滲む汗が止まらない…ガタガタと震える体が止まらない…今すぐにでも、この場から逃げ出してしまいたいと願う…。一体何度その衝動に駆られた?…数えるのも馬鹿らしい…。

「なんの冗談だ…?えぇ…?クド公…?」

その言葉に、更にビクリと体を震わす。
俯き、自分の靴ばかり見つめている視線を上げる事が出来ない。顔を上げ、また、あの目に睨まれたら…きっと私は…折れてしまうから…。

(折れ…る?…本当に…それでいいのですか?…私……私は…)

…………いや…違う……駄目だ…逃げちゃ駄目だ…!逃げちゃ駄目だ…!逃げちゃ駄目だ…!逃げちゃ駄目だ…!逃げちゃ駄目だ…!逃げちゃ駄目だ…!逃げちゃ駄目だ…!逃げちゃ駄目だ…!逃げちゃ駄目だ…!逃げちゃ駄目だ…!逃げちゃ駄目だ…!逃げちゃ駄目だ…!!

「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…」

繰り替え呪文のように唱える。思い出せ…今ここで逃げ出すわけには行かない。

『り…ん…ちゃぁぁあん!!ぜったい…絶対にお話…お話聞かせてもらうんだからぁああ!!ああぁああ!!』

死に物狂いで力を求め、手にした力の全てを持って親友と戦うことを決意し、そして今この時も、戦い続ける小毬の為に…。

『能美さん…私はここで、あの馬鹿猫を見守ることしか出来ない…でも、…貴方は違うでしょう?…貴方だけにしか出来ない…貴方ならできる事があるのでしょう?いつまでそのように、蹲っているおつもりですか?……まぁ…誰も貴方に強要はいたしません…貴方自身考え、自身でお決めなさい…決して後悔がないように…』

そして、散っていった笹瀬川の為に…。別れ際、笹瀬川の言葉が頭を過ぎる。

『貴方だけにしか出来ない…貴方ならできる事があるのでしょう?』

そうだ…私には力がある…。この力は私の誇り…。白と黒の協奏曲…。

『決して後悔がないように…』

後悔などしたくない…あんな辛い思いは…一度限りで十分だ!!

「オレはてっきり…」
「返してぇええ!!」

『怪物』の言葉を遮る様に、声を張り上げる。
その勢いで顔を上げ、目の前の『怪物』を睨みつける。折れてなんてやるものか!さぁ…ここからだ!始まりはここから…!私は、その為にここに来た!
そうでしょう!?小毬さん!

「リキを返して…」
「…………………」

そうでしょう!?鈴さん!

「鈴さんを返して…!」
「…………………」

そうでしょう!?…………私!!

「皆をっ……!!」

決着を付ける為に!あの日常に戻る為に!
少なくとも小毬と自分は、その為に戦っている!
戻りたいんだ!あの騒がしくも充実感に溢れ、心から楽しかったと誇れる時間に!
あの10人に!!あの笑顔に!!戻りたいんだ!!

「あの頃の皆を返してぇ!!」

だから私は戦う!例え相手がかつての仲間であろうと、立ちはだかる者は全て蹴散らす!…私はっ…私はっ!!

「私はっ!リトルバスターズ、バトルRANK7!能美クドリャフカなのですっ!!」
「…………………」

さぁ、戦うんだ!匙は、投げられた!後は、力の限り走り抜けるのみ!

「バトルRANK5!井ノ原真人!!私が、貴方を倒します!!」
「くっ…くくっ…ははああはははっ!!面白れぇ!やって見せろ!!このオレに対して!!来いやぁ!クド公ぉ!!」
「……………っ!!」

互いの叫びと同時に、互いに距離をとり、臨戦態勢に入る。
正直に言おう。今、この状態の私に勝ち目なんて何処にもない。幼少の頃より体を鍛え上げる事に執着していた目の前の『怪物』相手に、非力な自分が勝てる要素等あるものか…。

ならばどうする…?
…………………………………そんなの簡単だ!

「強化すればいいのです!術式展開!ストレルカっ!ヴェルカっ!」

バックステップで真人から更に距離を取る。そして両腕の袖を捲くり上げ、術式を展開させる。術式構成…魔方陣展開…魔法選択…トリガーボイス…。頭の中で、次々と組み立てられていく魔法と言う名の力の形。どうやら、真人はこの瞬間に、此方へ攻撃しようとは考えていないらしい。先程から一歩も動かず此方を凝視している…。…全く持って彼らしい…。

『汝に繋がれた鎖は、今この時、我によって解き放たれた!鎖の戒め解き放たれし、蒼穹の瞳、我守護犬、ストレルカよ…クドリャフカ・アナトリエヴナ・ストルガツヤの名において命ず!我が声に答え、その姿を示せ!』

袖を捲くり、広げていた左腕を空に掲げる。捲くられた袖からは、先程までは無かった不可思議な模様が浮かび上がり、掲げた拳の先には、足元に展開された正方形の魔法陣とは別の円型魔法陣が現れる。展開された光輝く魔法陣は、時計回りに回転を始め、主からのトリガーボイスを待つ。

「来て下さいですぅ!ストレルカっ!犬魂召還!!」

左手の魔法陣が光を放つち、辺り一面に眩い白が広がる…。そこから現れたのは、灰色と白を合わせ持つ、ハスキー系の大型犬。名を『ストレルカ』という。クドリャフカの頭上に浮かび、深く低いうなり声を上げ真人を睨みつけるその姿は、まさに主を守る騎士そのものだ。

「ストレルカっ…情報分解っ!」

握り拳を突き上げていた左手の人差し指を差し、更に叫びを上げる。…先ずはスピードと体力。それも、常人を遥かに超えるほどのポテンシャルを…。

「…ぬぅぅううぅう………!!」

今目の前の敵が有する力は『圧倒的な力』…。同じ土俵で戦うなどと言う愚行は犯さない…。その為に、この守護犬の能力を自らの体へ…落とす!

「ストレルカインストーールっ!ユニゾンイン!!ストレルカっ!!」

ストレルカの体が、少しずつ、白い分子へと姿を変える。小さな光と化したストレルカの体はその真下に居たクドリャフカの体へと光となって溶け込んでいく。蒼穹の瞳が、更に淡いクリアブルーに変化し、艶のある栗色の髪が、光輝く銀色にへと変貌を果たす。

このスキルは、契約状態の使い魔を召還し、その使い魔の能力を自分の物として使用することが出来る。その為、今この時、クドリャフカの全ポテンシャルは飛躍的に伸びた。常人のそれとは比べ物にならない程に…。

「インストール…完了…」

これが、クドリャフカのレアスキル『ユニゾン・インストール』である。
そしてもう一つ…

『黒き狼…力の化身!汝、我が誇り高き雷!その力、我が腕に宿り、果の対象を打ち抜く力となれ!我武装犬、ヴェルカよ…クドリャフカ・アナトリエヴナ・ストルガツヤの名において命ず!我が声に答え、その姿を示せ!』

続いて水平に広げた右腕から浮かび上がったのは先程のストレルカと比べ、一回り小さな黒犬。名を『ヴェルカ』。ストレルカのそれとは違い、飄々とした表情で、クドリャフカの右肩に飛び移る。器用に肩に着地するヴェルカを左腕で一撫すると、その表情を再び引き締め、更なる高みを目指す。

「ウェポンフォーム…ヴェルカ…『クロスブリッヅ』…」

先程とは対照的に、呟くように唱えるクドリャフカ…。肩に乗っていたヴェルカは黒い分子と変貌し、その姿を変える…。

「武装…完了…」

ヴェルカが姿を変えたのは、漆黒の二丁拳銃…。先程まで空を掴んでいたクドリャフカの両手には、対となる二丁拳銃が握られている。中央部分にはコアとなる黒いクリスタル。物言わぬ凶器と成り果てたヴェルカを構え、腰を深く落とし、再び臨戦態勢を作るクドリャフカ…。

これが、クドリャフカのもう一つのレアスキル『武装召還』。契約状態の使い魔を召還し、その使い魔の特性を色濃く受け継いだ武器に変化させ、使用する事ができる…。

「ヴェルカ…カートリッジロード…」

ガシャンと鈍い音と、煙を上げるヴェルカ。コアクリスタルが光り輝く。

「ねぇ…井ノ原さん…」
「あん?」
「また…一緒に、試験勉強したいです…」
「………………」
「私と…リキと…井ノ原さん…また三人で試験勉強したいです…」
「…………そうだな……オレに勝てたら…考えてもいい……」
「ははっ…そですか……また、知恵熱とか言って倒れちゃ嫌ですよ?」
「……そいつは保障できねぇなぁ~…それにクド公…お前気付いてないだろう?」
「何がですか?…」
「必死こいて勉強しなくても…今のお前の英語…十分、お前で言うところの『ネイティブ』っぽかったぜ?」
「……そ……ですか……」

一瞬では在るが…互いの顔に笑みが浮かぶ…。そう本当に一瞬だけ…それは、陽炎のように虚ろで、儚い微笑み…。

「……………行きます……………」
「……………あぁ…………………」

始まる…。方や失った物を取り戻す奪還戦。方や世界の法則を突き通す防衛戦。

「……………………………………」
「……………………………………」

ズガァァアアーーーン!!
鋭い閃光が走り、遠くの空で雷が落ちた。それが、始まりの合図…。

「「……………ぅぅぅううぅぅううああうああああああああああああああ!!!」」

こうして…二人の戦いが幕を開けた…。



「ぬぅ!犬ころ!?オレの唯一の武器をっ!!あぁオレのうなぎパイがぁあ犬っころなんかに、蹂躙されていらっしゃる~!?」
「わふ~!ヴェルカ!私の!私のうなぎパイ返してください!!」
「ねぇ…恭介…あの二人に…そんなシリアス求めるのは酷ってもんじゃぁ…」
「ノーコメント…」

お互いうなぎパイを引き当て、挙句の果てに、その唯一の武器をヴェルカに奪われ、走り回る真人とクドを眺めながら、僕と恭介はまた、苦笑を浮かべた。
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