スポンサーサイト

--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

グラシア・ブラザーズ・ライフ♪ #4

2008年05月27日 21:44

#4
暗闇の中に居た。周りを見回しても黒いカーテンが続くばかり…。目を閉じても開いても漆黒の世界には何の変化も無い。
絶対的な闇。漆黒。しかし、照らす光が存在しないにも関わらず右手をゆっくり翳すせば、見慣れた腕が認識できる。体全体を見回しても、寝巻き姿の自分がハッキリとわかる。都合がいいことこの上ない。なんとも薄っぺらい夢だ…。

(夢…?)

そう夢。これは夢…。数えるのが馬鹿らしく思えるほど繰り返し見続けている夢の欠片。10では足りない。100でも足りない。1000を数えてようやく足りる程に見続けた漆黒の世界。

(んっ………)

それにしても、実に不思議な感覚だ。夢の中に居るのに、これが夢だと認識している。触覚聴覚等の五感にも違和感は見当たらない。

(はやく…こないかなぁ…ねぇ…はやくきてよ…いつもみたいに…はやくわたしを…)

自然と笑みがこぼれる…楽しみで仕方が無い…こんな事を思う自分は既に壊れているのではないか?ふふっ…滑稽で仕方が無い…。

(…フェイト………………。)

虚無しか無かった暗闇から、一つの気配が生まれる。名を呼ばれて振り返るとそこには待ち望んだ光景が広がっていた。だから私は、いつもみたい笑って言ったんだ。

(ころして…くろの…………。)



「はい、はやて。キャラメルマキアートで良いんだよね?」
「うん、ありがとう~フェイトちゃん♪…………んーーーー♪おいしっ!」

フェイトが差し出してきたドリンクを受け取りちびりと口をつける。こういう物は、一気に飲み干してはいけない。少しずつ、少しずつ味わう。至福とはまさにこのこと。口の中に広がる心地よい甘さは、疲弊気味な脳と体への立派な救世主となるだろう。

「ホント、はやては、いつも美味しそうに飲むよね…」

苦笑しながら運転席へ乗り込むフェイト。その手には、ブラックコーヒーが握られている。ある意味イメージ通りである。

「だって、おいしーんやもーん!あかんで!フェイトちゃん!飲食は正直に全力で楽しまんと!そやないと人生の半分は損しとるのと同意や!」
「う、うん…そだね…」

現在は、六番ポートへの道のりの途中にある、カフェの駐車場。
交通状況や、出発時刻を通常より早めに設定したせいか、時間に若干の余裕が生まれた。
まぁ、だからといって、カフェに入って少し遅いモーニングブレイクをするというには時間が足りない中途半端な時間な為、駐車場に車を駐車し、カフェでドリンクをテイクアウトの後、車内で小休憩と言う事になった。

「おしっ!甘さが脳を活性化させたで~♪…んっ…今の内に資料確認しとくか…」

そう呟き、ウインドウ画面をいくつか同時展開する。

今日は、前々からの約束である騎士カリムとの会談。
機動六課の立ち上げに伴う膨大な仕事量に黙殺されて、通信でさえ最近までご無沙汰だったが、それもやっと落ち着きをみた。ここでの会談は実にタイミングがいい。形的にはカリムからの呼び出しに答えた形だが、此方も直接的ではないが、カリムに所用があったので丁度良かった。

ウインドウを一つずつ確認していく。
現在確認できているがジェット対処法の向上と新たな技術提案と題された資料が一つ。
構成員の詳細データを一覧化させたリストが一つ。
そして…

「あぁ…その子が…例の」

最後のウインドウ画面に、表示された、白髪の少年を見てフェイトが声を上げた。

「うん、そう………管理局特別捜査官、『プラクティス・グラシア』君。私が目付けた機動六課最後のフォワード候補…今まで遠征任務についてて、連絡取れなかったんだけど、やっと任務に折が付いて帰ってきとるんやて~」

そして今、私の目の前にはその『所用』の資料が表示されている。今回の私的な目的。それはこの少年。プラクティス・グラシアの勧誘作業だった。

「あれ?『グラシア』って言う事は?」
「そっ!カリムの弟さんや!だから今回はカリムにそこらへんの助けて貰おう思って…まぁ、ティアナの時にそれとなく話はしといたんやけどね…」



失言だった…。
決して意図があった訳ではない。新型デバイスを受け取り、与えられた昼食時に上がった話題の疑問を何も考えずに口に出してしまった。

「ティアナさんって、沢山ご兄弟がいらっしゃるんですね~他のご兄弟さんはご両親と暮らしてるんですか?」
「あっ…」

そう私が問いを投げかけた瞬間、スバルさんの表情が眼に見えて曇った。
食事中の談話の最中も、口と手を休める事は決してしない、食欲旺盛の塊(←失礼)のスバルさんが、その両方を止めて、伺うように隣に座るティアナさんの表情を伺っていた。

「えっ?あの…」
「あぁ…あたしら両親とかいないから…んー?まっ、いいか…それに、家の兄弟、誰一人血が繋がってないんだよね…」
「「えっ…?」」

このティアナの軽い爆弾発言には、私だけでなく、私の隣に座るエリオくんも驚嘆の声を漏らす。そんな私たちを置いていって、ティアナさんは淡々と語りだした。

「カリム姉さんはともかく、ロッサ兄さんも、ティスも、シアも…そして私も、幼い頃に協会で保護された人間だから…まぁ……その…色々…そう!…色々あってさ…そんでもって今の形の出来上がり~ってな具合か…」
『ティアナァ!お前には是非!ポニーテールをお勧めした…ぶるぁあ!?』
「でっ?いきなり、何をほざいてるの?この色ボケ竜は?」
『あぁ!この踏みつけられる感覚が病みつきに…ではなぁああい!聞けクロスミラージュ!?ポニーテールだ!時代はポニーテールを求めているのだよ!かの偉大な『ニョン』もおっしゃった!『俺…ポニーテール萌えなんだ…』っと…………わ、我輩もだあぁ!!つまりME TOO!!略すと『俺、ポニー!』!故にクロスミラージュ!ティアナのバリアジャケット生成時には是非ともポニ…どふぅ!?』
「あたしの大事なデバイスに何、吹き込んでるのよ!?」
『ぽにっ!ぽにっぽにっ!ぱにぽに!!ぽにっぽーにっ!』
「せめて人語を話せっ!それになんかどさくさに紛れて変なの混ざってなかった!?」
『poni…poni…poni…poni…poni』
「駄目よクロスミラージュ!?そんなこと学習しないでぇ!!」

今回ばかりは、重い空気をぶち壊してくれたフリードに、少なからず感謝してた自分が居た。



「確かに、今のあの四人の形は、理想系に近いと思う。それぞれが、それぞれの特性を活かし、ポジションという形でチームを作る。前衛、中盤、後衛、バランス的にも問題ないと私は思ってる。直接確認はしてないけど、恐らくなのはちゃんも同意見だと思う。」

「うん…。」

「だけど…それは、バリエーションの幅を極端に狭める事になる…。もし、四人一組に出来ない状況に陥ったら…もし隊長、副隊長抜きでの各個撃破を狙われたら…勿論、そんな状況にも即時対応出来る様に、なのはちゃんやヴィータに指導を頑張って貰ってるし、フォワード四人の事も信用してる。純粋で真っ直ぐな子達や…きっと近い内に、大きく化ける。…だけど、それでも、やっぱり決定的に足りない物が出てくる…それは…」

「経験…かな?」

「そっ…スターズはまだいい…スバルとティアナのコンビは結構年季入ってるみたいやし、ティアナには指揮官スキルも見込めると私は見てる。1+1が2にも3にも化けるコンビネーションスキルもまぁ概ね、合格点…これから、きっちり任務こなして、それらに磨きを掛けていけばあの二人は大丈夫…。どちらかというと問題はライトニングや…」

「うん…。」

「逸材やと思う…きっと相互の信頼もあると見てて思う…せやけど…キャロとエリオの二人には不安材料が目立つ。その中でも一番大きいのが、さっきも言った、絶対なる経験の足りなさ…年を考えれば此れは、ある意味どうしようもないと思うけんやけどね…それはこれから学んでいけばいい。せやからそれまでの間、あの二人には必要やと思った。隊長や副隊長の様な目上の存在の指揮とは別に、同じ視点から投げられた指揮が…。指揮官が…。そやね…ポジション的にはセンターガードとガードウイングの掛け持ちかな?割合的に言うとセンターガード7割、ガードウイング3割の実動型の指揮官。キャロは本来のフルバックの仕事をして貰って、エリオにはガードウイング7割のフロントアタッカーの3割。これが私が出した、隊長クラスを除いた新人ライトニング部隊の理想形。」

「その人材に期待するスキルは冷静な状況判断。経験の無い臨機応変はありえない。戦場の現状を冷静に分析し、それに素早く対応できる判断能力、応用力、贅沢を言えば、所有魔法も多ジャンル渡っていればいるほどいい。更に言うならば、人を導くリーダー資質も欲しいところっと…そんなとこ?」

「ぱちぱちぱち~流石はテスタロッサ・ハラオウン執務官殿~」

いつの間にか空になったドリンクを備え付けられたゴミ箱へ投げ捨てる。
放物線を描きながら投げ捨てられた紙コップは、ゴミ箱の角へ激突するも無事にその中へとその身を納めた。

「茶化さないの……でっ?それがこの子?」

フェイトが、ウィンドウ画面をスクロールし、詳細情報を引き出す。
彼女が気になるのも無理はないだろう。もし彼が機動六課へ配属されるとすれば、それは先ず間違いなく、彼女が隊長を勤めるライトニング隊への配属となる。詳細を知りたいと思うのは自然である。

「そやね…タイプ的にも、技術云々的にも文句なし。他にも色々理由は有るけど……要約して説明すると…」
「うん。」

本音を言えば、物凄く迷った。この表現方法を使うかどうか…。

「どっかの誰かさんによう…似とるんよ…魔法も、物事の考え方も、思想の方向性も、不器用な優しさも…ほんま…ように似とる。………………………………なぁ…フェイトちゃん…言いたくなかったら聞き流してな…………まだ……あの夢…見とるんか?」

沈黙が車内を支配するのにそれ程時間は掛からなかった…。
スポンサーサイト


コメント

    コメントの投稿

    (コメント編集・削除に必要)
    (管理者にだけ表示を許可する)

    トラックバック

    この記事のトラックバックURL
    http://toa2blog.blog17.fc2.com/tb.php/6-61ca1088
    この記事へのトラックバック



    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。