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グラシア・ブラザーズ・ライフ♪ #6

2008年05月27日 21:48

#6
ふざけるな…ふざけるな…ふざけるな…ふざけるな!ふざけるなー!!
目の前に広がる光景をまるで理解できない!これが、こんなことが、本当に人が行う所業か!?只呆然と眺めることしか出来ないこの身がここまで恨めしく思ったのは初めてだ!

「ああぁああぁあぁああぁぁぁああああああああああぁぁあぁぁあっ!!!」

『『プラクティス』バイタル・精神波長!共に異常値へ転換!補佐AIは全ての実験の中止を推進!所長っ!!』
『かまわん!所詮モルモット…前回の『実験』でもこのラインはクリアしたんだ!限界までいくぞ!…結界出力13%上げろ!それ比例して魔力濃度を13%下げる!終了した機材から撤収作業を開始しろ!その他の者は、そのまま持ち場で待機!全員計測器から眼を離すな!!フェアル班!資質に変化は!?』
『まだです!歪みは発生しましたが…、リンカーコアへの直接的変化は見られません!…いえ…識合パターン…今でのどれとも違う…?』
『所長っ!左腕能力限界を明らかにオーバーしてます!危険です!停止の許可を…!?』
『黙れぇ!!かまわんと言っているだろ!!腕の一本や二本は吹き飛んでもかまわん!頭と胴体さえ残っていればそれでいい!』
『ううっ…』

「うあああぁぁぁぁああああぁぁぁぁあああぁぁうあぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
(やめて!やめてあげて!なんで!?なんで同じ人間同士でそんな事をするの!?)

無駄だと判っているのに体が反射的に動く。

(やめて!やめて!やめてーーーー!!)

無意識に出す静止の叫びを上げながら、声を荒げ、下衆な笑みを浮かべる白衣の男に殴りかかる。何故そのような愚考を犯す?いつもと結果は変わらないと判っているのに?自分の拳が男の体をすり抜けるだけだと判っているのに?

「あああああぁぁぁぁあああああああああうぁぁぁあああああ!!!!!!!!!」
(それでもっ!助けたい!この人を!!)

一人漂うだけだった私に優しく語りかけてくれた人…孤独から解放してくれた人…可愛いって褒めてくれた人… 私に………新しい名前をくれた人……今の私にとっての全て!その人が苦しみ、悲鳴を上げている!それなのに何も出来ない!!

(私は…無力だ…悔しいぃ…!)

悔涙が頬を濡らす。瞳に溜まった涙が少年の姿をぼやかせる。
初めて話しかけてくれた時の艶のある黒髪も、今では、ぱさつき、真っ白に脱色されている。日を増すごとに造りだされた傷により、顔も若干変化したように見受けられる。両頬に走る縫い傷痕や注射跡が痛々しい。もし自分に力があれば、肉体があれば…こんな事にはならなかったのだと考えると途端に、胸が苦しくなる…。

(誰か…)

自分は手を出す事が出来ない。幽体である自分にこの場で出来る事など何もない。

(誰か…助けて…)

そうなれば、もう…外部の助けを待つしかない…。そうだ…。彼にも家族や友人がいるはず。その者達の助けを待つしか今の自分には出来ない…。無力な私に代わって、どうかこの人をを助けてあげてほしい!

(お願い…誰か…助けて…)

待つから!私もこの人と一緒に待つから!
せめてこの人の心が壊れないように…自分を見失わないように…話をするぐらいしか出来ない私だけど…待ってるから!…だから…!

「あぁぁぁぁぁぁああああああっぁぁあぁあぁぁぁ!!!!!」
(この人を…助けてえぇ!!)



何の前触れも無く、眼を開ける。すると、太陽の日差しが瞳を照らし、咄嗟に利き腕で瞳を覆う影を作った。

場所は、教会中央に設けられている中央広場の芝生の上。
そこで大の字で寝転がる私に、唐突に訪れた本日二度目の目覚め…近日稀に見る最悪の目覚めだ…。

(………暫く…見てなかったんだけどな…あれから、もう数年たったんだっけ?……)

眼を覆った腕をそのままに、無気力かつ、忌まわしげに呟く。どちらかと言えば『悪夢』にカテゴリーされる夢を見たせいか、体を休ませてた筈なのにも関わらず、妙な倦怠感が残りとてもではないが、その場を動く気になれなかった。

(そもそも…なんで、私こんな所で…駄目だ…頭が覚醒し初めでうまく回らない…私はシア・グラシア…設定年齢5歳…かに座のB型~)

自分の今に至る経緯を覚醒し初め頭で思い起こす。
愛犬のポテトと『協会敷地内限定鬼ごっこ』をテーマに教会中を駈けずり回ったまでは良かったが、ポテトの足止めにと放ったブレイズキャノンが、丁度教会内裁判場のドアをぶち破り、中で声を荒げて喚き散らす管理局執務官に当たってしまったのだ。

「ああ…あいむ…そうり~?…り、りぴーと…あふた~み~?お~いえ~す…だっけ?」

取り敢えずの(この前、カリム姉様に教えて貰った)謝罪はしたのだが、執務官はそのまま白目になりピクリともしない。その姿を目の当たりにした、見物人はパニックに陥り大混乱。このままでは暴動が起きてしまいかねない程の勢いだ…。
仕方ないと、私が執務官の代わりを務めた。しかし、何をすればよいのだろう?ん~つまりはあれだ…『意義あり!』と叫べばよいのであろう?ならば何とか私にも出来るだろう…。ということでレッツトライ!

『意義あり!!おでんにジャガイモを入れないとは何事ですか!?』
『意義あり!!猪を捕獲するのに武器など要りません!拳一つで十分です!』
『意義あり!!わ、私はもう成人を迎えている存在なのです!?ですので無闇やたらに頭を撫でないで下さい!私の頭を撫でていいのはカリム姉様とティス兄様だけです!あっ、でもお菓子は今まで通り受け取ります!幅広く募集します!ポテトチップとか最高です!』
『意義あり!!無差別フラグ立て能力保持者を甘く見るなです!このまま彼等を野放しにすれば、そこ等中にハーレムが形成される恐れがあります!』
『意義あり!!チワワとチクワは良く似ているようで全く違う物です!』
『意義あり!!そもそも『意義』ってなんですか!?』

うむっ、それなりに上出来だったと自負している。何しろ、大混乱状態にあった裁判場がしーんと静まり返るぐらいだ。まぁ、突如乱入した、神父クラウスに裁判場からたたき出され、その後どうなったかまでは判らないのだが…。あぁ…それで、思ってたより魔力消費が激しかったから…ここで、休んでたんだっけ…。

「…………………うにゅ~……………」

そのまま暫く大の字で寝転ぶ。穏やかな昼下がり、何もせずポケーとした時間もたまにはよい物だろう。何しろここの所、仕事仕事と忙しかったのだ。故に、余計この平穏が愛おしく感じる。

(ん~~…?)

そのうち、瞳を徐々に光に慣れてきたのを感じたので、覆い被せていた腕をどける。
地面を背にする私の瞳が、映し出したのは使い古された表現ではあるが…青い空、白い雲…。

「真っ白い雲…か」

そよそよと吹く風が雲を流し、視界に入る前髪をゆらゆら揺らし、髪飾りの鈴をチリンと鳴らす。

「…………………」
『白い雲』『白い髪』

私は『白』が大嫌いだ。嫌なことばかりを連想させる…。
白い部屋…無機質な拘束具…下衆な笑み…痛烈な悲鳴…姉様に懇願して、髪を『白』に染めたのだって、無力な自分への戒め…強くなるという誓いの為。好き好んでこの色にしたわけではない…。

「昔…か。」

懐の内ポケットから一枚のカードを取り出し太陽に掲げる。黒を基色とした一枚のカード。真ん中には青い宝石が誂てある。名を『S2U』という。私が使用する、デバイスの待機状態の姿だ。

「私は私の道を行く…例えどんなに汚れたって…兄様だけは…守り通してみせる……って、あれっ?そういえば…ポテト?………ポテトーー?」

突如、一緒に寝転んでいたはずの愛犬の存在を思い出し、がばっと体を起こし、辺りを探す…。中庭を全体を見回しても、その姿を確認ことが出来なかった。気配を伺ってみても、どうやら近くにはいない様だ。

(全くもうっ!どこにいったんだろ…ん~可能性として一番在り得るのは…カリム姉様の所かな?)

理由はわからないが、ポテトはカリム姉様に懐いている。尋常じゃない位に…普通『雲と戯れる貴方が見てみたいわ』との言葉と共に、魔力弾排出砲の弾丸として入道雲目掛けて射出されたら…というか何?そのありえない発言…。時々、カリム姉様が本気で怖い。

にしても、少々困った。実の所、今日はカリム姉様を訪ねてくるお客様とやらがいるらしく、姉様の執務室への出入りを厳しく禁止されていたのだが…。

「まっ…いいか…。ポテト捜索という大義名分もあることだし…」

そうと決まれば、即実行。中庭を抜けて、カリム姉様の執務室がある教会本部へと足を向ける。そう、この時、私は知らなかった…。この選択が…奴等のリーダーとの対面と繋がっていたなんて…知らなかったんだ…。
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